着物の数え方

【着物の豆知識】着物には数え方があった。単位別に数え方をご紹介!

ものの数え方には様々なものがあり、中には間違った使いかたの方が市民権を得たようなものもたくさんあります。

ウサギを「羽」ではなく「匹」で数えたり、蝶々を「頭」ではなく「匹」で数えたりというのが代表例でしょうか。

しかし、着物のような歴史のあるものを呼ぶときに正しい数え方ができないというのは、少し寂しいですよね。

そこでこの記事では、そんな着物に関する数え方を紹介したいと思います。

着物の数え方①:「枚」

着物の数え方①:「枚」

羽織や浴衣のようないわゆる着物類は「枚」を用いて数えます。

広げると薄く広がりますから、紙などと同じように「枚」を用いるのだと考えればそれほど不自然な数え方ではありませんね。

また広げれば薄くなる、ということで袴なども「枚」で数えます。

着物の数え方②:「着」

着物の数え方②:「着」

先述した「枚」と数えるものを見て、「着」という数え方はしないのかと疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません。

洋服の上着などは「着」と数えますから、そちらの方が今時は自然に感じられるでしょう。

しかし、着物において「着」は一揃いの衣装に対して用いられるのです。

例えば、先ほど羽織と袴は「枚」で数えるといいましたが、普通これらはセットで扱いますよね。

そのような場合には、つまり晴れ着や普段着といった一揃いの着物を指す呼称を用いる場合に「着」を用いるのです。

着物の数え方③:「領」

着物の数え方③:「領」

ここまで解説して着た数え方は現代の洋服などにも適用できる考え方、数え方でしたが、ここからは着物特有の数え方をご紹介していきます。

「領」は、昔は襟を表していた言葉で、そこから転じて襟を持っていた衣服、つまり着物などを表す言葉になりました。

また一揃い装束を数えるときにも用いられ、儀式に望むための衣装や、舞に着る装束などに使われていました

着物の数え方④:「具」

着物の数え方④:「具」

昔は男子の着物は「具」を用いて数えたことから、現在でも袴などは「具」を用いて数えることがあります。

また「具」には「領」と同じく、一揃いのものという意味があり、儀式などに望む装束や舞の衣装などは「具」を使って数えられます。

着物の数え方⑤:「揃」

着物の数え方⑤:「揃」

「揃」は現代でも使われる数え方で、例えば成人式に振袖を用意した場合には、振袖を一揃い用意する、というような使い方をしています。

基本的には、晴れ舞台のような場のために用意した着物に対して用いられているようですが、普段着のような着物でも、例えば相手からのプレゼントとして送られた場合などには「揃」が用いられている場合もあるようです。

着物の数え方⑥:「腰」

腰から下を覆う装束ということで、袴は「腰」とも数えます。

読み方は「こし」「よう」の両方がありますので、どちらを使っても間違いではありません。

着物の数え方⑦:「双」

足袋は基本的に靴下と同じく「足」と数えますが、「双」という数え方も存在しています。

二枚一対だから「双」というのは、いささか安直な気もしますが、わかりやすい分知らない人にも伝わる可能性がある数え方だと言えるでしょう。

着物の数え方⑧:「筋」「条」

帯は基本的には「本」、特に幅広のものなどは「枚」で数えますが、「筋」や「条」という数え方もあります。

帯は細長いので、線のように細いものということでこのように数えるのですね。

ところで「条」とは何か、と疑問に思われる方もいるかもしれませんが、「条」は現在でも「一条の光」という言葉に残っているように、細長いものを数える際に使う言葉です。

これをそのまま帯にも当てはめて「条」と数えているのです。

着物の数え方の注意

着物の数え方の注意

ここまでいくつか着物の数え方を紹介してきましたが、数え方が相手に通じるかどうかは分からないということには注意してください。

基本的に現代の私たちは服の数え方については「着」と「枚」以外に用いることはなく、そしてそれで事足りています。

そのため多くの人たちは和装に用いられる古い数え方を知りません。そのため、頑張って数え方を覚えて使ったとしても、相手に伝わらないリスクが常に付きまとっているのです。

ですから、使ってみて伝わらなかった場合には「着」や「枚」で言い換えて、自分の言いたいことを相手に伝えるようにしましょう。

まとめ

着物に関する様々な数え方をご紹介してきましたが、着物の知識について何か得るものはあったでしょうか。

着物は日本の歴史ある装束です。そして歴史があるということは様々な文化との交錯や、あるいは独自の変化を遂げてきた、ということでもあります。

そんな変化の中で様々な呼び方、数え方が生まれては消えていき、今に伝わっているのです。

しかし現在、この歴史ある数え方はだんだんと廃れつつあります。この記事で紹介した数え方も、ほとんどは聞いたこともないような数え方だったのではないでしょうか。

そんな消えつつある伝統を、少しでも引き継ぐという意味でも、着物の数え方を覚えてみるというのは、意義のあることだと言えるのではないでしょうか。


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